本文
県立広島大学は、広島市の県立広島女子大学、庄原市の広島県立大学、そして三原市の広島県立保健福祉大学の県立3大学を2005年に統合して県立広島大学となり、2025年で20周年を迎えました。中でも県立広島女子大学は1920年に広島県立広島高等女学校家事補修専攻科を原点とした創立100年を超える伝統のある大学でした。それぞれの大学は、現在は地域創生学部、生物資源科学部、そして保健福祉学部として、新たな出発をしています。
ところで、本学は広島県が設置した公立大学です。本学の役割は地方財政という公的資金を基盤として設置?運営されるという性格から、設置者である広島県の人材育成等各種の政策をより直接的に体現するという役割を持っています。そのため、広島県における教育機会の均等の実現や地域活性化の推進、また市町行政の課題解決研究などを行っています。
本学には3つのキャンパスがあります。地域創生学部のある広島市は、2024年度の「転出超過」が3年ぶりに全国20の政令指定都市で最多となり、転出者数が転入者数を2505人上回りました。広島市は、年代別や転出先を詳しく分析し、若者に優しい街づくりを目指しています。みなさんの力を活かし、街づくりに協力していただきたいと思っています。庄原市には生物資源科学部があります。庄原市だけではありませんが、鳥獣被害も深刻な問題です。広島県全体の農作物に対する鳥獣被害額は、2016年に39,742万円だったものが2023年には33,938万円に減少していますが、これは耕地面積の減少や耕作放棄地の増加のために、見かけ上の減少に過ぎません。また、食料自給率を上げることも農業の大きな課題です。政府は2030年までに食料自給率を45%に引き上げる目標を掲げていますが、2023年度、カロリーベースで3年連続38%となり、達成の目途は立っていません。生物資源科学部での研究により、様々な課題を解決してもらいたいと思っています。三原市の保健福祉学部の2024年度の国家試験の結果は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、精神保健福祉士、助産師の6分野において合格率100%、看護師合格率98.4%、保健師合格率94.1%でした。将来、保健福祉分野で貢献したいと思われている方は是非、三原市にあります保健福祉学部を目指していただきたいと思っています。
皆さんの人生の一ページを是非、県立広島大学で過ごしてください。お待ちしています。
県立広島大学 学長 森永 力